移転価格税制などの法務リスクに注意

 リスク管理のポイント
海外の新市場への開拓は、国内の既存市場とは、言語、文化、習慣、法律その他の制度が異なるわけですからリスクの大きいプロジェクトです。したがって、それに備えたリスク管理が必要です。 リスク管理のプロセスには、1)リスクを発見し、特定すること、2)そのリスクが実現化する可能性と実現した場合の大きさを予測すること,3)そのリスクに対する対抗策を用意しておくこと、4)リスクをモニタリングすることが必要です。
今回は、リスクの場所が企業の内部にあるか否かという点で、内部リスクと外部リスクに分けて、考えていきたいと思います。
1.内部リスク
企業は、製品、サービスなどの価値を生みだすバリュープロセスをもっていますが、そのプロセスの過程にもリスクが生じます。例えば、従業員の不正、従業員の資質がポジションに合わない、職場環境が法令に適合していない、債権・債務の不履行なども含まれます。
これらのうち従業員の不正には、しっかりした内部統制システムによって多くを防ぐことができます。内部統制システムをどのように構築するかは基本的に国内事業の場合と同じです。 ところで、中小企業の場合は、監査になじみがない場合もあろうかと思いますが、外国の関連会社(支店)の内部不正を防ぐために、外部の会計事務所に監査を依頼することも検討すべきです。
2.外部リスク
おもなものとして、法務リスク、税務リスク、知財リスクがあります。ここにあげたリスクはすべて法律に関するものですが、我が国の法制度に親しんだ人間としては、しばしば、他国の法制度に関する記事を目にする時、驚きを禁じ得ないことがあります。最近では、平成21年12月29日 中国で、麻薬を国内に持ち込もうとして逮捕された英国人に死刑が執行されました。また、欧米の自動車のデザインをコピーした車がどうどうとモーターショーに出品されていたりもします。 これらの事件は、外国の行けば郷に従え、法律文化のパラダイムシフトをして戦う必要があることを教えてくれます。

これらの法務リスクを回避するためには、事前に現地の法律の専門家に相談することをお勧めします。 つまり、予防のためのコンサルティングです。

 

中国市場での移転価格事情を例にとります。

現在、中国市場に進出している日本の企業に対して、中国政府が移転価格による調査が累計1000を突破したといわれています。その対象は、中小企業にまでわたります。

その調査はかなり恣意的であるといわれています。

 

移転価格による更生があると、更生の対象となった所得は、中国と日本の両方で課税される結果となってしまいます。日本では、対応的調整といって、二重課税となってしまった所得部分に対して、日本側で減額する制度がありますが、一定の条件を満たすことが必要であり、多くの企業は、大手の税理士事務所の高額なフィーを払えないといった理由などからその条件を満たせずに、税金の二重払いを余儀なくされています。(一説には全体の40%が二重課税のままとなっていると聞きます) 。つまり、移転価格リスクが実現したら、後の祭りの危険があるということです。

 

この税務リスクを避けるために、事前に専門家のアドバイスを受けながら、海外に進出した関連会社(または支店)との間の取引価格の算定方法、価格分析のための資料等の文書化しておくべきです。

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